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TOXアルジュSS

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※甘々にならなかったためボツったものです。シリアスになるのは何故…?
出会い始めの頃のアル→ジュです。



誰かが必要としてくれるならそれで良かったなんて、否定してくれたのは他でもない彼で。
仕事だから守っていてくれるなんて、分かっていた。


パチ、パチと木が爆ぜる。ミラ・マクスウェルの護衛として雇用契約を結んでから、まだ日も浅い。
自称デキる男、アルヴィンは夜の見張りをしつつ銃のメンテナスを行う。
解体し、掃除をして組み立てる。それなりに頑丈にできているものだが、壊れてしまえば替えは中々きかない貴重なものだ。
リーゼ・マクシアにこのような武器は普及していない。似たようなものはラシュガル兵の一部が持っているが、アルヴィンの持っているものより遙かに劣っているものだった。

「アルヴィン、起きている?」

まだ少年らしさの残るボーイソプラノにアルヴィンは、心臓を掴まれたような感覚に陥った。
こちら側の人間に深く言及されることは、避けたかった。

「子どもは寝る時間だろ」
「でも、イル・ファンではずっと夜だったから…夜に強いよ」

クスリと笑う黒髪の少年。ミラに関与したため、彼自身も国に追われることになった。
おそらく、本来居るべき場所である医学校から除籍処分を受けていることだろう。
実家に戻るか、軍に本当のことを話してしまえばいいだろうにこの少年はミラに与している。
ジュード・マティス。とある組織の動向調査に載っていた。
あの時は軽くしか読まなかった自分をアルヴィンは後悔していた。

「ねぇ、アルヴィンはコーヒーはブラックでよかった?」
「それでいいけど、優等生は分からないからブラックで持ってきたんだろ?」

本当に彼は優等生なのだ。料理もできて、戦闘もそつなくこなし、性格も悪くない。
当たり障りのない行動も、向けられる感情も考えてやっていることなのだろう。
面白く無いとアルヴィンは受け取ったコーヒーを啜りながら考える。

「ジュード、おたくは銃を持ったことがあるかい」
「えっと、銃って……」

メンテナンスがすっかり終わったものをジュードに手渡した。
弾は抜いてあるし、セーフティもちゃんとかけている。

「わ?!お、重いんだね、これ」
「特注製だ。だから、ジュードにはまだ早いかもな」

そうアルヴィンが言えば、ジュードは若干ムスっとした表情をした。
この少年は子ども扱いを嫌う。それこそが、子どもである証拠だ。

「アルヴィンはこれで何人、その…」
「銃のいいところは、相手から離れて殺れるところだ。ジュードみたいに近接を得意とする奴らには持って来いなんでな」

指で銃を形取ると、そのままジュードの胸に当てた。
何もされていないし、術も発動していないのに胸に熱さを伴う痛みを感じた。
ジュードはアルヴィンのどこか馬鹿にしたような笑いから、顔を背ける。

「自分が傷つくリスクもなしに殺せるんだね」
「おたくに合う銃を知り合いに頼んでやろうか?」

ふざけた調子ながらアルヴィンの言葉が重く感じられた。

「僕はいいよ。この武器は重すぎる」
「そっか、でもお前なら使いこなせると思ったんだが」

人を傷つける度に泣きそうな、辛そうな顔をするくらいなら。

「痛みを忘れてしまったら、僕は医者になれないよ」

自嘲めいた笑顔に、アルヴィンは息を飲んだ。
本当に彼は医者になろうとしているのだろうか。傭兵の自分があれやこれと考えるのは間違っている気もする。
ジュードに預けた銃をやんわりと返してもらうと、アルヴィンはそのままホルダーに仕舞った。

「なぁ、優等生。もしも、家にも帰りづらくて行く先が無いなら俺と…」
「ダメ、だよ。アルヴィンにこれ以上、迷惑かけられない」

自分より背の低い彼の頭をくしゃくしゃと撫でるアルヴィン。
裏切ったあの人にはっきり言って似ていない。それが、なんだか可笑しかった。
時間の経過を嫌でも分かってしまう。きっと、痛みに鈍くなっている。

「迷惑じゃねぇよ、俺はジュードが好きだぜ。頼りにしている」
「……う、うん」

微かに頬を染めるジュードを平気で裏切る言葉を、アルヴィンは得意げに振り回す。
ほとんどの嘘と、僅かな真実にジュードは嬉しそうな顔をした。

(本当のことを話したら、お前は怒るのか?泣くのか?それとも、憎むのか?)

俺のために、と考えれば心に湧き出る奇妙な感覚にアルヴィンは胸が躍る。
もしも、彼を殺す時は銃を使おう。同時にそんなことも思った。


End
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